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2003.12.02 Tuesday

1. はじめに--美しくなってきた地球と人間の役割

1. はじめに
 もしも宇宙人が、スペースシャトルほどの高度(250km)で地球を周回する宇宙船に乗って過去200年間、地表の詳細を観察しつづけてきたとすると、加速度的に進行した都市の拡大と森林破壊、大気汚染と海洋汚染などの元凶は、この時代の人口爆発とエネルギーと資源の過剰消費にあると判断するはずである。

しかし、もしも彼らが46億年前の地球誕生時から観測しつづけてきたならば以下のように結論するに違いない。
(1)地球は時とともに地質的にも地形的にも気候的にも多様化し、景観的に美しくなってきた。
(2)それには生き物の進化が大きく寄与している。
(3)地球がもっとも美しくなった段階で出現したホモ・サピエンスつまり現代人は、意識的に美を造形する芸術を生み出し、さらに地球を美しくしてきた。従って
(4)最近数百年間の地球規模での環境破壊は人類の進化にともなう必然的現象ではなく、
(5)芸術を生み出した生命史上初の生き物として近い将来、芸術活動を通じて現代の危機を克服し、再び地球を美しくしていく可能性は高い、と。

 本稿では、まず地球誕生から現代人の出現までの地球と生命圏の歴史を概観する。
次いで土壌を媒介とした固体地球と生命圏の結びつきを軸にして、大気圏−岩石圏−水圏をめぐる物質循環が地球環境を浄化し、生命圏を維持してきたことを説明する。
そして最後に芸術をキーワードとして固体地球と生命圏の共進化の歴史に基づいて現代人の地球史・生命史的な役割を考察する。

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